制作風景


設計
 「オルガネッタ」は天然木材を主材にし、伝統的なオルガン制作の技法に加えて、湿度変化の多い日本の気候に配慮した設計がなされています。

美しい音色とデザイン、高い音楽表現力と操作性、耐久性など様々な要素を両立させた設計


木材の乾燥
 「オルガネッタ」の制作は天然の木材を長年かけて乾燥させる事から始まります。
天然木は合板や樹脂、金属などの素材と違い、さまざまな性質や材ごとのクセなどがあり、単に木を使って作るだけでなく、木を生かして作る知識と経験、技術を必要とします。
 「オルガネッタ」では北海道産の桜材をケースに、ヨーロッパ産のブナ材を内部構造に、カナダ産のスプルース材を木管に、そして黒檀を取っ手類に使用しています。

 野外で5,6年干してから(左)厚みに割いて室内でさらに3,4年乾燥させます(右)


ケースの制作
 「オルガネッタ」は美しい音色のために音響的に優れた配置で笛を納めています。オルガンケースはそうした音色と視覚的な美しさ、強度や操作性も満たす様に作られます。

多数のクランプで念入りに接着されます
各接合部分は組み手やホゾによる丈夫な作り

木工旋盤で加工中の飾り柱
立体的な造形も高い精度で工作されます

丹念に彫り込まれる繊細で美しい彫刻

長い時間をかけて完成したケース(左1型、右2型)


送風機構の制作
 外側からは殆ど見えない部分ですが、機能と耐久性、音響や音楽表現力も考慮した精巧な機構です。主要な部分は何度でも分解、修復可能な作りになっています。

ブナ板に蟻の巣の様に掘られた風路
風漏れや笛の空鳴り防止の為の念入りな加工

風のやりとりを制御する風箱の素材
風箱内部に41個組み込まれる小型の空気弁

組み上がった風路と風箱
音色の変換を行うスライダーと操作機構

吹子(ふいご)の仕切り板と蛇腹部分
蛇腹の羊皮はニカワで貼られ、貼り替え可能


メカニズムの制作
 ブックを正確に読みとる機構や直接手を触れるハンドルは、通常のオルガンの鍵盤に相当する最も重要な箇所の一つです。滑らかで心地よい操作感に配慮した作りがなされます。

旋盤で加工中の金属部品
ブック(音楽ソフト)を送り込む機構

正確に溝が掘られたブック読み取り部品
組み上がったブック読み取り機構

ハンドルと連結して吹子を漕ぐ
クランクシャフト
組み上がった内部メカニズム


パイプの制作
 音色に最も影響するパイプの制作は慎重に行われます。メタルパイプは鉛80%錫20%の合金が使われ、表面が美しく磨かれます。木管は内部に収まる様に折り曲げ加工されます。

裁断したメタルシートを叩いて丸めます
音色を作り出す歌口部分を慎重に整形

胴部と足部をハンダ付けで接合
作業用の白塗装が洗われて輝くメタルパイプ

木管のブロックと側板の接着
ケースに収まる様に折り曲げ加工された木管


塗装
 パイプが完成して整音も終わると、一度バラバラに分解して塗装が行われます。
 セラックニスを何度も塗り重ねて美しい光沢に仕上げた後、繊細な金色装飾を施します。スプレーによる塗装と違い、筆で塗ることでニスが木の繊維にたっぷりと染み込み、湿度変化の影響を受けにくい丈夫な皮膜が形成されます。

乾燥時間も含め、塗装に2週間を費やします

繊細な彩色は息の詰まる様な作業です


ブックの制作
 自動楽器の場合、音楽ソフトの制作は楽器の制作同様に大変重要です。ソフトの善し悪しが楽器の価値を左右する為、満足いく仕上がりになるまで細かい修正が繰り返されます。

編曲された楽譜の音符を数値に変換します
治具を使ってブックに正確に記譜

パンチングマシンで根気よく孔開けします
納得のいくまで修正され、孔埋めされた原本




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山梨県北杜市高根町清里3545萌木の村内
脇田直紀手回しオルガン工房
TEL.0551-48-3535(代表ホール・オブ・ホールズ)